2012-09-22
Kappa の飼い方(Kappa という ORM の話) その3 基本操作
こんにちはこんにちは。 もうすぐ「Perl のお祭り」こと YAPC::Asiaですね!皆様、見る方も発表する方も準備は万全でしょうか?
(私?お察しください。。。今日はちょっとだけ資料書いたよ!)
ここで宣伝。Perl と SQL のいろいろ というタイトルでお話させていただきます。裏番組がどちらも大変なビッグネームなので恐縮なのですが、初中級者くらい向けに Perl と SQL にまつわる話を させていただこうと思っております。
(※ここまでテンプレ)
Kappa という ORM の話。今日は基本操作です。
目次
- その1 開発の背景のお話
- その2 インストールとかのお話
- その3 基本操作
- その4 select 系いろいろ
- その5 Row オブジェクトの基本
- その6 Row オブジェクトのカスタマイズ
- その7 テーブルクラスとそのカスタマイズ
- その8 雑多な話
- その9 SQL をテーブルクラスに置く
事前準備
テーブルを作っておきましょう。
use DBI;
my $dbh = DBI->connect("dbi:SQLite:dbname=$dbfile",'','');
$dbh->do("
CREATE TABLE detective (
id INT PRIMARY KEY,
name TEXT
);
");
基本操作
インスタンスの生成
インスタンスの生成はこんな感じです。
use Kappa;
use DBI;
my $dbh = DBI->connect("dbi:SQLite:dbname=$dbfile",'','');
my $db = Kappa->new($dbh);
DBI のデータベースハンドラ($dbh)を作成して、それを第1引数に渡します。第2引数は、hashref として色々渡せるものがあるのですが、これについてはそのうち解説します。
それから、この例のように Kappa のインスタンスをそのまま生成することは実はあんまりなくて、継承してプロジェクト毎にカスタマイズされた物体を作るような使い方を想定しているのですが、それは今後解説します。
以降は、$db(Kappa のインスタンス)が作成されている前提で説明していきます。
insert
insert メソッドは INSERT 文を実行します。
$db->insert('detective', { id => 1, name => 'シャーロック・シェリンフォード'});
第1引数はテーブル名、第2引数は hashref で、値を指定します。この例だと、
INSERT INTO detective (id, name) VALUES(1, 'シャーロック・シェリンフォード');
と等価です。もっというと、SQL::Makerというモジュールの、insert メソッドで生成される SQL の実行結果と等価です。戻り値はありません。最後に INSERT した ID(mysql_insertid とか)は「返さない」ので、$dbh から自前で拾ってください。
update
update メソッドは UPDATE 文を実行します。
$db->update('detective', { name => '譲崎 ネロ' }, { id => 1 }); #主役交代(?!)
第1引数はテーブル名、第2引数は hashref で、UPDATE する値を指定します。第3引数も hashref でこれは UPDATE に使うキーです。 この例だと、
UPDATE detective SET name = '譲崎 ネロ' WHERE id = 1;
と等価です。もっというと、SQL::Makerというモジュールの、update メソッドで生成される SQL の実行結果と等価です。戻り値はありません。
主役が変わっちゃうと困るので戻しておきましょう。
$db->update('detective', { name => 'シャーロック・シェリンフォード' }, { id => 1 });
select
select メソッドは SELECT 文を実行します。
my $row = $db->select('detective', { id => 1 });
第1引数はテーブル名、第2引数は hashref で、条件を指定します。 この例だと、
SELECT * FROM detective WHERE id = 1 LIMIT 1;
と等価です。もっというと、SQL::Makerというモジュールの、select メソッドで生成される SQL の実行結果に「LIMIT 1」をつけたものと等価です。戻り値ですが、Kappa の row_object_enable という内部変数の状態によって変わります。デフォルトは 1(TRUE)で、Row オブジェクトが有効になっています。この場合、
my $row = $db->select('detective', { id => 1 });
$row->id; # => 1
$row->name; # => 'シャーロック・シェリンフォード'
みたいな感じで、フィールド名がメソッドになる Row オブジェクトが返ります。Row オブジェクトの詳細はそのうち説明します。 で、row_object_enable に 0(FALSE)を指定すると、
$db->row_object_enable(0);
my $row = $db->select('detective', { id => 1 });
$row->{id}; # => 1
$row->{name}; # => 'シャーロック・シェリンフォード'
こんな感じで、Row オブジェクトの代わりに hashref が返るようになります。
結果が複数欲しい場合は、リストコンテキストで受ければ大丈夫です。その前に、複数行返るように2件目以降のデータも入れておきましょう。
$db->insert('detective', { id => 2, name => '譲崎 ネロ' });
$db->insert('detective', { id => 3, name => 'エルキュール・バートン' });
$db->insert('detective', { id => 4, name => 'コーデリア・グラウカ' });
$db->insert('detective', { id => 5, name => '明智 小衣' });
my @rows = $db->select('detective', { }); # 条件指定していないから複数の結果が返ります。
$rows[0]->id; # => 1
$rows[0]->name; # => 'シャーロック・シェリンフォード'
$rows[1]->id; # => 2
$rows[1]->name; # => '譲崎 ネロ'
# ...
リストを受けると、row_object_enable が有効なら Row オブジェクトの配列、無効なら hashref の配列が返ります。
コンテキストに応じない select
select メソッドはコンテキストに応じて、1行分(スカラーコンテキストの場合)か全行分(リストコンテキストの場合)を返すのですが、 戻り値をそのまま渡すような使い方をすると、ちょっと分かりにくくなります。
こういう場合は、用途に応じて、メソッドを使い分けるのがおすすめです。
1行だけ返す場合、select_row を使います。
my $row = $db->select_row('detective', { id => 1 });
$row->id; # => 1
$row->name; # => 'シャーロック・シェリンフォード'
対象行すべてが欲しい場合、select_all を使います。
my @rows = $db->select_all('detective', { }); # 条件指定していないから複数の結果が返ります。
$rows[0]->id; # => 1
$rows[0]->name; # => 'シャーロック・シェリンフォード'
$rows[1]->id; # => 2
$rows[1]->name; # => '譲崎 ネロ'
# ...
select 系のメソッドはもっと色々あるので、それは今後紹介していきたいと思います。
delete
delete メソッドは DELETE 文を実行します。一人だけ探偵じゃない人が混ざっているので、消しておきましょう。
$db->delete('detective', { id => 5 });# 小衣ちゃんは探偵ではない
第1引数はテーブル名、第2引数は hashref で、値を指定します。この例だと、
DELETE FROM detective WHERE id = 5;
と等価です。もっというと、SQL::Makerというモジュールの、delete メソッドで生成される SQL の実行結果と等価です。戻り値はありません。
まとめ
今回は基本操作を紹介しました。次回は select 系のメソッドとか Row オブジェクトまわりを紹介しようかな、と思っております。
それから今回の例が若干おかしいのは仕様です。最近マイブームなのです。