「劇場版 探偵オペラ ミルキィホームズ 〜逆襲のミルキィホームズ〜」、現在絶賛公開中ですが、ここであえて、「探偵オペラミルキィホームズ第2幕」(2期)の話をしようかと思います。

なぜあえて、今更2期の話をするかというと、第2幕を観ると「今回の映画の良さがさらに分かって良いな」、と思ったからです。

「探偵オペラミルキィホームズ第2幕」ってどんな話?

よく言われるのが、「1期のノリをさらに強化したドタバタカオスアニメ」みたいな言説で、それは一面の真実でもあります(公式もそれっぽいこと言っているし)、しかしながら、今回、映画公開直前(公開日だったかも。公開日は僕は仕事の都合で観に行けなかったので)に、第2幕を見直してみたところ、ちょっと違ったふうに見えてきたので、そのことについて書きます。

喜劇と悲劇と

ドタバタな感じで進む第2幕ですが、前半から中盤までは、実は「悲劇として描かれているのではないか」と今回見直してみて思いました。

ミルキィも怪盗帝国も学校でのアンリエットさんも、みんながみんな、それなりにベストを尽くして一生懸命です。でも、ハッケイジマで囚人を脱獄させちゃったり、カマクラの探偵博のシンボルを爆破しちゃったりしていて、その度にアンリエットさん(=アルセーヌ)はミルキィホームズにイライラを募らせていくんですね。

最初見たときは面白おかしく笑いながら観ていたのですが、今回改めて見直してみたら、痛々しいし悲しいなと思ったのでした。

トイズとダメダメと

第2幕においては、ミルキィホームズは(1期のように)「トイズを失ったからダメダメになった」のではありません。実際に何度かトイズは戻っています。1期はアンリエットさんの幻惑のトイズの中とか一瞬だけ戻るとかですが、戻った時はダメダメではなく、ちゃんと目的を果たしています。でも、第2幕では、ラードの神とのバトルより前では、トイズが戻っても終始ダメダメなんですよね。(農家とか寝相とか)

探偵の本分と怪盗の本分

第2幕のメインテーマは、おそらく「探偵の本分とそれを取り戻す話」だと思います。アンリエットさんやアルセーヌに「あなた達は何なのですか(何になりたいのですか)?」と問われても、「探偵です」とは言えず、「歌手になりたい」とか的外れなことを言っていたり、「探偵」と言おうとしたのに噛んでしまって言えなかったりとかしています。(探偵の本分を見失ったミルキィホームズを言葉遊び的な描写でうまく描いていて面白いですね。こういうところも好きです)

一方でアルセーヌも自分の美学というか、やはり本分を見失っているんですね。ダメダメなミルキィホームズを見限ったアンリエットさん(=アルセーヌ)はホームズ探偵学院を破壊するわけですが、その直前、ストーンリバー(だよね20だっけ?)に「破壊とは美しくない」と言われてしまうわけで。

みんなそれぞれ頑張っていたにもかかわらず、探偵も怪盗も、自らの本分を失ったヨコハマ。これが悲劇でないとしたら、何なのでしょうか?

ダメダメなミルキィホームズ

第2幕では、ミルキィホームズは終始ダメダメとして描かれています。極め付けは、ラードの神に「もっとも恐ろしいダメダメのトイズ」を食らっても何も変わらず、「そんなものは効きません!なぜなら私たちは最初からダメダメだからです!」とシャロが言っていたりします。最終的にラードの神に勝利して麦わらのストローを使って、トイズをひきはがす時も「すいません、吸います」とか完全にギャグでダメダメな感じです。(この時はすでにトイズも戻ってる)

取り戻した探偵の本分

で、最終的にラードの神を倒して無事ハッピーエンドを迎えるわけですが、その直前では、「私たちは探偵」「あなたを逮捕します」と、よどみなく、迷いなく言えているわけでして。そのことが第2幕におけるミルキィホームズの復活なんですね。

で、ミルキィホームズってどんな話?

というわけで、ミルキィホームズ第2幕は、「ダメダメでも、トイズがなくても、健気に頑張って怪盗を逮捕する、それが探偵である」という心を取り戻す話なんじゃないかなー、と思うわけです。

ミルキィホームズの成長と劇場版について

1期では(夢と)友情がメインテーマ(だと思っている)なので、ミルキィホームズのチームワークがガタガタになる話が何度か描かれています。でも最終的にはチームワークを取り戻して、あの感動的な11話のシーンがあるわけですね。一方、第2幕では、ミルキィホームズは終始仲良しで、チームワークが乱れることはほとんどありません。

そして第2幕で見失っていた探偵の本分を取り戻したミルキィホームズは、今回の劇場版では決して見失うことはありません。相変わらずダメダメですが、ちゃんと成長してるんです。

だから、どんなに酷い目にあっても、ピンチになっても、トイズがなくても「探偵ですから!」と力強く言い切れるわけですね。トイズがないダメダメミルキィホームズが、根拠がないのに、力強く「探偵ですから!」と言い切るのは、何も知らないとギャグなのでしょうが、この辺の話を踏まえて見ていたミルキィおじさんのワタクシとしては、「おかしいな、目から汗が。。。」となってしまうわけです。

ふぅ。最後の1文を書きたいがために、長々と書いてしまいましたが、まとめると「ミルキィホームズ最高」ということと、「劇場ミルキィは今世紀最高のアニメ映画だ!」と言うことです。